複雑なJSONから特定のデータを再帰で取り出せるようになるための4ステップ
はじめに
こちらの記事の「複雑なJSONから特定のデータを取り出す」実装するにあたり、段階的に考えることで徐々に正解に近づけていきました。もし、上記の記事だけではわかりにくかったり、もう少し詳しい説明が読みたかったりする場合はぜひ参考にしてみてください。
目次
- はじめに
- Step1. 配列からStr型の要素を取得する
- Step2. 2階層構造の配列からすべてのStr型の要素を取得する
- Step3. n階層構造の配列からStr型の要素を取得する
- Step4. Int,Str,List,Dictの混合オブジェクト(JSON)からStr型のvalueを取得する
- リファクタ
Step1. 配列からStr型の要素を取得する
配列の要素がStr型であればresに追加を配列の要素個数回繰り返します。
サンプルデータ
sample = ["a", "b", 1]
取得したい値
["a", "b"]
実装
res = [] for v in sample: if isinstance(v, str): res.append(v) print(res) # ["a", "b"]
forを用いた反復法です。Step2以降との比較のためにリスト内包表記では実装していません。 非常にシンプルな例なので解説は不要かと思います。
Step2. 2階層構造の配列からすべてのStr型の要素を取得する
次は、データが2階層、つまり、配列の要素に配列がある場合を考えてみましょう。
サンプルデータ
sample = [["a", 1], "b"]
取得したい値
["a", "b"]
実装
res = [] for arg in sample: if isinstance(arg, str): res.append(arg) if isinstance(arg, list): for v in arg: if isinstance(v, str): res.append(v) print(res) # ["a", "b"]
Step1の実装を元に2階層のfor文で実装しました。
見て分かる通り、期待の結果は得られますが、Str型かどうかの条件分岐を2回行なっており冗長であることがわかります。
この実装だと配列が3階層、4階層、、、と増えた場合、その分for文の階層を増やすことになり、さらに冗長なコードになってしまいます。
そこで再帰関数の登場です。
再帰は、大きな問題を小さな問題に分割して解決する分割統治法 であることが特徴で、Step2で実装したコードを再帰関数で実装すると冗長な部分を簡潔に実装することができます。Step3でやってみましょう。
Step3. n階層構造の配列からStr型の要素を取得する
Step2の実装を再帰法で実装してみます。再帰にまだ自信がないという方は、Step3の実装に入る前にこちらの記事を参考にしてみてください。
サンプルデータ
sample = ["a",["b", 1, [[["c", 2], 3], 4], "d"], ["e"]]
取得したい値
["a", "b", "c", "d", "e"]
実装
def get_str(arg): res = [] if isinstance(arg, str): res.append(arg) elif isinstance(arg, list): for v in arg: return res += get_str(v) print(get_str(sample)) #
処理を順番に追いながら解説していきます。
sample
はリスト型なので、最初の処理は、
for v in arg: res += get_str(v)
となります。この時、arg
は3要素なので、上記の処理は下記の処理をそれぞれ行うことになります。
①res += get_str("a") ②res += get_str(["b", 1, [[["c", 2], 3], 4], "d"]) ③res += get_str(["e"])
それぞれの処理をさらに追ってみましょう。
①res += get_str("a")
これは、res
に "a"
を追加して終了です。
②res += get_str(["b", 1, [[["c", 2], 3], 4], "d"])
こちらは、下記のそれぞれの処理を行います。
res += get_str("b") res += get_str(1) res += get_str([[["c", 2], 3], 4]) res += get_str("d")
これらもそれぞれ処理を追うことができます。
③res += get_str(["e"])
そしてこちらは、下記の処理を行います。
res += get_str("e")
同じようにどんどん処理を追ってくことができます。
①res += get_str("a") >> res.append("a") * ②res += get_str(["b", 1, [[["c", 2], 3], 4], "d"]) >> res += get_str("b") >> res.append("b") * res += get_str(1) res += get_str([[["c", 2], 3], 4]) >> res += get_str([["c", 2], 3) >> res += get_str(["c", 2]) >> res += get_str("c") >> res.append("c") * res += get_str(2) res += get_str(4) res += get_str("d") >> res.append("d") * ③res += get_str(["e"]) >> res += get_str("e") >> res.append("e") *
*印のところがresに最終的に追加されている部分です。そして、最終的に get_str
は res
をreturnするため、Str型の値のみが格納された配列を取得することができます。
このように get_str
の引数がStr型であれば配列に追加され、List型であればさらにその要素に対して get_str
(関数自身)を呼ぶことで、再帰的に配列の要素を処理してくれる関数が実装できました。
Step2のような反復法だと、n階層分forを書く必要があるのに比べ、コードの量が少なく簡潔に実装できていることがわかります。
Step4. Int,Str,List,Dictの混合オブジェクト(JSON)からStr型のvalueを取得する
ついに目的の実装ですが、Step3まで終えた皆さんは簡単に実装できると思います。
Step3の実装ではList型かStr型かの判定しか行っていませんでしたが、そこにDict型の判定が加わるだけです。
サンプルデータ
sample = { "a": [{ "b": "y", "c": [{ "d": [2,3] }], "e": {"g": "z"} }], "f": ["x"], }
取得したい値
["x", "y", "z"]
実装
def get_str(arg): res =[] if isinstance(arg, str): res.append(arg) elif isinstance(arg, list): for item in arg: res += get_str(item) elif isinstance(arg, dict): for value in arg.values(): res += get_str(value) return res print(get_str(sample)) # ["x", "y", "z"]
Step3にDict型が来た場合の処理を追加します。
Dict型の場合は、キーバリューのバリューを get_str
の引数に与えてあげるだけですね。
これでJSONから特定のデータを取り出せることができました!
リファクタ
Step4の実装だと他のデータを取り出したい時に関数を書き換えなければいけないため、データの判定は外出しすることにします。 こうすることで、他のデータを取り出したい時にそのデータを判定する関数を実装するだけで済みます。
def search(arg, cond): res =[] if cond(arg): res.append(arg) elif isinstance(arg, list): for item in arg: res += search(item, cond) elif isinstance(arg, dict): for value in arg.values(): res += search(value, cond) return res def has_str(arg): return isinstance(arg, str) def get_str(arg): return search(arg, has_str)